就職してから2年くらい乗る事ができたクルマ。
ローバーミニ40th
小さなショップの片隅に置いてあったこいつを見て一目惚れ。即決で店長に声をかけたのが懐かしい。埃を払って運転席にのせてもらいフロントガラスから見えた景色は、ショップの前のいつも混んでる通り。いつもの町の景色なのに何故かワクワクした。
パワステ無いし、トラクションコントロールとか電気制御の介入は無いから運転の良し悪しは自分次第。燃費は悪いしハイオクだし、窓はくるくるハンドルで、店から渡されたカギは3本(ドア・エンジン・燃料キャップ)もあった。そして教習所以来のマニュアルミッション車。
エアコンは効かず、窓を開けても後ろの窓は開かないから空気が流れず熱中症になりかけた。電装系、操作系、いろんなとこがしょっちゅう壊れるけど、乗ってて楽しいクルマ。
最初はなんとかこいつをうまく走らせてやりたくて練習しまくった。1番の練習はドライブに出る事。登り坂、下り坂、コーナー。ひとつひとつを丁寧に、回転数やギアを試していく。無理をさせるといろんなところがガタガタギシギシ。
車買ったぞ〜と彼女の元へ向かう途中、ブレーキが効かなくなり、エンジンブレーキとサイドブレーキだけで登り坂の途中のコインパーキングに滑り込んだ。そういえば彼女が初めて見たこいつの姿はレッカーで引きずられる後ろ姿だった。笑
教習所のクルマやレンタカーでは気にもしなかった僅かな道路の凸凹や轍にも注意しないと、硬いサスが跳ねてしまう。片方のタイヤで水溜りなんか踏んだりしたら大変だ。大きくハンドルを取られて初めて経験した時にはあわや事故と思ったほど。パワステの恩恵とは絶大だなと感じた。
走り出し、ギアチェンジ、コーナリング。全部こいつに教えてもらった。そしてAT大衆車に乗っている今でも、この経験が基本になっている。AT車に乗っててもギアを落として走りたい時があるのはミニの時の癖だろう。
長い坂では必ずエンジンブレーキ。フットブレーキがいつも効くなんて信じてない。減速はクラッチとミッションでするものと思わされている。フットブレーキは後続車に知らせるのと最後の確実な停止のため。
急なコーナーの前でも低速ギアに入れる。速度を落としても回転数は落としたく無い。トラクションと反応を感じながら旋回するならひとつ低速のギアでエンジン回転はミドルより上、余力を残して一定の回転数を保つ。クリッピングポイントを過ぎると残していた余力を解放させ、グッと立ち上がってくれる。
緊急時にはどんな速度域でも加速しなければならないから、高速ギアのままクラッチを切ってフットブレーキだけで減速なんて怖くてできない。大切なのは加速も減速も、速度に合わせたギアを入れてやること。
古いからでも可愛いからでもない。40年守られてきた構造には理由がある。乗っていて本当に楽しいクルマだと思えるから。
あの頃の自分と、いろんな車に乗った今の自分ではまた乗った時の感想は違うと思う。おれ、成長できたかな?
機会があればまた乗りたい、また色々教えてもらいたい。そんなクルマ。
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